第8章 智くんのお父さん、の巻
「はぁ〜〜〜…智くん、大丈夫かな…」
今日は会社を休んで一緒にお父さんに会いに行くと言ったのに、強引に家から追い出されて仕方なく会社に来たモノの…
智くんのコトが気がかりで何もする気が起きない
こんな事では社会人失格だって事は重々承知してはいるが
「……だって、俺の一番は、智くんなんだもん…」
俺にとって、智くんより優先される事なんか、この世に存在しない!
いや、あの世にだって存在しないに違いない!!
「あぁ〜〜〜…智くぅ〜ん…」
「なんや、大丈夫か櫻井くん?ごっつぅ顔色悪いで?」
今にも死にそうな溜め息をついていたら、同僚に声を掛けられた
「…大丈夫じゃないよ…」
「ホンマに具合悪そうやな?帰った方がええんちゃうか?」
「…帰りたいのは山々だけど…」
「帰り帰りぃ!今日は大した業務がないさかい、俺が代わりにやっといてやるわ」
「ま、マジで!?」
「おぅ、その代わり今度奢ってや」
「奢る!絶対奢るっ!!」
俺はカバンを掴むと勢い良く立ち上がった
「…なんや、急に元気になりよったな」
「気の所為だよ!!じゃあ、あと宜しくっ!!!」
俺は同僚に後を任せて元気よく(笑)会社を飛び出した