第8章 智くんのお父さん、の巻
「本当?一人で大丈夫?」
「うん…なんかあったら、すぐ翔くんに連絡するから」
「絶対だよ?」
「うん」
僕はそれでも渋る愛しの旦那様を無理やり家から追い出すと、溜め息をついた
「…大丈夫…会って、ちゃんと縁を切って、終わりにするんだから」
嫌な予感はしてたんだ
でもそんなコト無いって
そんなコト有り得ないって
そう、信じたかった
その人は、病院の特別室の大きなベッドに横たわっていた
一目見て、すぐにそうだって僕には解った
随分歳を取って、髪もすっかり真っ白になっていたけど
僕を見て優しく微笑むその顔は、間違いなく…
「…大きく…なった、ね………智くん」
お花屋さんの、おじちゃんだった