第7章 思い出の別荘、の巻
それを、新しい恋人が出来たのを良いコトに、身勝手に彼の元を去ったんだ
それなのに忘れられないなんて、バカなコト言って…
(………本当に、僕って最低)
顔を押し付けてるから、涙はバレテしまっているかもしれないけど
せめて声は出すまいと必死に堪えていたら、急に翔くんが大きな声を出した
「よし、解った!!」
「……ふぇ?///」
思わず上げてしまった顔を、翔くんがガッチリ捕まえた
それから、何時もの優しい笑顔を見せると、言い放った
「あのね、智くん、君ね、松本くんを忘れちゃダメ!」
「……はぃ??」
(ナニ…言ってるの?
…忘れちゃダメって?…どうゆう…コト??)
ポカンとする僕に、翔くんが笑顔のままで言った
「忘れちゃダメって言われたら、忘れなきゃって思わないで済むでしょ?
だから、忘れちゃダメ!」
「…翔くん…」