第7章 思い出の別荘、の巻
どうしよう…
僕って、なんてバカだろう…
(“どうしたら忘れられるか”なんて“どうしても忘れられない”って言ってるのと同じじゃない)
潤くんを、忘れられないって…言ってしまったのと同じ…
僕はバカな自分が情けなくて…お酒をちょっと飲み過ぎてしまった事も手伝って、泣けてきてしまった
(う〜…僕のバカ…泣き虫…こんな僕なんか、大嫌い)
僕は翔くんの胸に顔を押し付けたまま、顔を上げる事が出来なくなってしまった
(…きっと、もういい加減嫌われちゃう…僕…また……捨てられるんだ)
捨てられたって言っても、潤くんは、決して別れを口にした訳ではない
でも、彼が結婚を決めた時点で、僕にとってはそれは捨てられたのと同じ事だった
それでも
僕は潤くんから離れられなかった
(僕は自分から別れようと思ったら、本当は何時だって別れられた筈なのに、そうしなかったんだ…
…僕が弱虫だったから…だから…)
僕は、身勝手で、我儘な最低野郎だ
だって、翔くんに出逢って…愛されて
もう、一人じゃないって思ったから…だから…
お別れを言えたんだ
そうじゃなかったら、僕は今でもずるずると、潤くんの愛人をしていたに違いない
何時来るか解らない恋人を待ちながら
…もう、来ないかもしれない恐怖に怯えながら…