第7章 思い出の別荘、の巻
その袋から、ポタポタと黄色い汁が滴り落ちている
俺は慌てて起き上った
「…卵、入ってたっけ?」
「…卵、入ってましたな」
「…卵、割れちゃったの?」
「「「………」」」
三人で暫し黙り込む
「もう一回、買い出し行こうか?」
「もう、良いですけどね…
いくら大野くんが心配だったからって、荷物を放り投げんじゃないよ…まったく」
ニノはブツブツ文句を言いながら部屋を出て行った
「…僕が、心配だったの?」
智くんは、床に何故か正座して座り込んでいた俺の前に、同じようにして座り込むと
涙とセットで出てしまっていた鼻水を拭いてくれた
「うん…まぁ、心配っていうか…早く、逢いたくて」
「…だって、ほんの、二時間くらいだよ?」
「うん…でも、逢いたかったんだもん」
「………嬉しい///」
そう言って、俺の膝の上にちょこんと乗っかって、智くんはまた俺の胸に顔をスリスリした
「…智くん…智くんも、俺に逢いたかったの?」
「うん」
「たったの、二時間しか離れてなかったのに?」
「…だって、寂しかったんだもん///」
「ふふ…俺も、嬉しい」
「…うふふ///」
(……嗚呼……幸せ///)
俺はちんまり俺の膝に収まる智くんを、そっと抱きしめた
可愛い可愛い俺の奥様を抱きしめ、幸せを噛み締めていた俺は
この時まだ気付いていなかったんだ
どうして、智くんがそんなに寂しかったのかを
どうして、そんなに
泣いて、いたのかを…