第42章 アブナイ同窓会、の巻
「…そんな風にニノが笑うのをさ、一番近くで見てたかったんだ、俺…
…だから、東大に行って、俺もエリートになって、ニノに相応しい男になりたかった…
…けど、結局東大受験に失敗して…
…ニノが俺の元を去って行ったのは、俺が一般人だからなんだって、だから俺はニノに捨てられたんだって
…俺さ、ずっとそう思ってたんだ」
「………」
俺は黙って佐藤の話を聞きながら、静かに語る佐藤の前の、さっき大野くんが座っていた椅子に座った
佐藤は、俺が座ると
正面に顔を向けて少し俯き、話を続けた
「…俺さ、ニノが俺と付き合ってたのを誰にも明かさなかったのも、俺を振ったのも、俺が一般人だったからだって思ってたんだ
だからさ
絶対に手が届かないとこに行ってしまってるハズのニノが、小さなBARのバーテンダーと同棲してるらしいって聞いて…
…じゃあ何で俺はあんなに呆気なくニノに捨てられたんだって思って…納得が行かなくて…」
「………」
「…俺さ、左遷が決まったんだ、本社から地方の小さな事務所にさ…
…丁度その頃ニノが財閥の跡取りを降りてバーテンダーと同棲してるって噂を聞いて…
…俺の人生が狂ったのは、ニノに振られた所為なのに、何で俺より収入が低そうなバーテンダー風情の男と、って…
…俺、そんな、訳の解らない逆恨みしたんだよ(苦笑)」
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