第41章 にの、青春の青い思い出!?、の巻
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……佐藤……
「………うふっ///」(←名前も普通だと思ってツボった)
「………普通ですよね」
佐藤くんは、僕が彼の名前を聞いてつい笑ってしまったのを見て、微妙な顔で自傷する様に言った
「頑張って勉強して、あんな名門のお坊ちゃん学校に入ったのに
普通の大学に入って、普通の会社員になって、普通の毎日を送ってる
見てくれも性格も収入も名前も、全部普通で…
…そりゃ、ニノみたいな特別な人間が、俺みたいなのと付き合ってたって知られるのが嫌だって思うのも、仕方のない事ですよね」
言いながら、彼の目がゆらゆらと揺れる
その揺れる瞳の中に僕は、怒りとか憤りとか、そんなものでは無い違うものを見ていた
…それは多分、嘗ての自分の瞳の中にあったものと同じもの…
「………お前さ、何しに来たんだよ」
それまで、不機嫌そうにして黙っていたニノが
何やら作業をしながら、佐藤くんの方を見ないで言った
「……風の噂でさ」
佐藤くんは、そう言いながら自分の方を見ないニノに視線を向けた
その視線には、さっきまでの悲壮な感じに混じって、怒りの様なものが見て取れた
「風の噂で、ニノが財閥の跡取りを弟に押し付けて降板したって聞いてさ
そんな自由の身になったお坊ちゃんが、どんな普通じゃない暮らしをしてるんだか見てみたくなったんだよ」
「………あそ」
ニノは、佐藤くんにそう言われて尚、顔を上げずに言った
それを見てムッとした顔をすると、佐藤くんが今度は相葉ちゃんの方を見た
「そうさ
まさかね、こんなパッとしないBARのマスターの愛人してるなんて思わなかったけどな
天下の二宮財閥の御曹司がさ」
「……………てめぇ、帰れや。」
明らかに相葉ちゃんのことをバカにしたような佐藤くんの口振りに、ニノが漸く顔を上げて佐藤くんを見る
そして、低く唸るような声で言った
「俺の雅紀をバカにする奴に飲ませる酒はねぇ
…………帰れ。」
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