第40章 家族の肖像、の巻
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失ってしまった命は
決して蘇りはしないけれど
その大切な小さな命は
今も、僕らの心の中で生きている
そんな
僕の切なる想いを
きっと、貴方は僕が描いた家族の肖像画を見て汲み取ってくれたのだろう
そして
そんな貴方の優しさが
僕の弱い心を癒やしてくれたんだ…
…だから
「………ねぇ、翔くん」
「ん?」
僕は、翔くんに服を脱がされながら
その顔をじっと見つめて言った
「……………僕ら、の………赤ちゃんは………
………………悪魔なんかじゃ、ない、……よね?///」
「!!……智くん……」
「……あの人が、言ったんだ……
……僕を、階段、から……突き落とす、前に……」
「………あの人、って………」
「…………戸、田…さん、だよ………」
「……………」
あの日
僕らの赤ちゃんが、どんな風に無残に命を奪われたのかを
貴方にはちゃんと話さなくちゃって、思って
僕は、喉が詰まって声が出なくなりそうになりながらも
懸命にその時のコトを話した
「………僕のこと……穢らわしい同性愛者めって、言って……
……それで、僕の赤ちゃんのコト……悪魔だって……
……だから、神様に変わって、地獄、に、……送り返して、やるんだって……
……………地獄に、堕ちろって、言って…………僕と、赤ちゃんを…………
………階段の、上から………突き落とした、の…………」
「…………そう、だったんだ」
翔くんは、僕の服を脱がす手を止めて、中途半端に裸になった僕を抱き締めながら
ため息と一緒に呟いた
「………辛かったね、智くん……そんな過酷な記憶を独りで抱えて……苦しかったね」
「………ぅん///」
小さく頷く僕に、にっこりと優しく微笑んで
翔くんは、僕の頭を撫でてくれながら言った
「でも、大丈夫だよ、智くん……僕らの赤ちゃんは悪魔なんかじゃない
僕らの赤ちゃんはちゃんと、天国に行ったはずだからね?」
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