第40章 家族の肖像、の巻
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「………ありがとう、翔くん……ごめんね///」
「智くんが謝る事なんかなんもないでしょ?」
「………ありがとう////」
智くんが、“ありがとう”って言いながら、涙を湛えて美しく微笑む
俺は、そんな愛おしい人を…愛する妻を抱き締め…
…抱き、抱き締め…
「……抱き締めらんないよぅ〜(泣)」
「ん?どしたの翔くん」
「……絵、絵が邪魔ですギュッと出来ないぃ〜(泣)」(←さとちがデカい絵を後ろ手に抱えているので腕が回らなかった(笑))
「んふふ……じゃあ先にコレ受け取って?」
智くんは、どーやって智くんを抱きしめたら良いのやらと所在なさげに手をワタワタさせる俺を見て、涙を零しながらクスクス笑うと
背中に隠していた絵を俺に掲げて見せた
「おっ…!!///」
それは
肖像画だった
でも
ただの肖像画ではなかった
「……これ……
……智くんと、俺と………俺らの、赤ちゃん…?///」
「……うん///」
それは
まるで写真屋さんのショーウィンドに飾られているような
家族の肖像画だった
絵の中央に置かれた椅子に、智くんが腰掛けていて
その後ろに俺が立ち、智くんの両肩に手を置いている
そして、椅子に腰掛けた智くんの腕には…
「………なんかさ、この子……気のせいじゃなかったら俺に似てね?(笑)」
俺は、絵の中の智くんの腕に大切そうに抱かれている赤ちゃんの顔を覗き込んだ
「あ、解る?(笑)
僕ね、翔くんに似た男の子が欲しかったから
…だから、翔くんの実家に行って翔くんが赤ちゃんの時の写真を借りてね?
で、その写真をモデルにして描いたの///」
「そうだったんだ」
俺は、掲げていた絵を床に下ろして絵を持ったままソレを覗き込む智くんの肩を抱き寄せた
「……素敵な誕生日プレゼントありがとう智くん
俺、一生大事にするよ」
「うん…ありがとう///」
はにかみながら微笑む君に、そっと口付ける
「……寝室に飾っても、良い?」
「……うん、良いよ///」
「じゃあ、早速飾ろっか?」
「……うん///」
俺は、どうにかして片手で家族の肖像画を抱えると
智くんと手を繋いで寝室へ向かった
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