第40章 家族の肖像、の巻
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その時話してくれたところによると、結構な大きさの絵を俺の誕生日プレゼントとして描いているとのコトだった
(何の絵かなぁ?)
ただ『大きい絵』とだけで、何の絵なのかは教えてくれなかったので
一体何の絵を描いてくれたのだろうと思いを巡らせる
(ん〜…俺的にはやっぱり、智くんが描かれてるやつが嬉しいよなぁ…)
「………………
……………
……………いかん、鼻血出る(汗)」(←なんかイケナイものを妄想したらしい(笑))
「お待たせ〜♡」
智くんが描いてくれた絵を予想して若干鼻血が出掛かっていた所に(←本当に若干っすか?)
智くんが大きな絵を抱えて戻って来た
「おー、本当にデカい絵だね!」
背中に隠す様に後ろ手に抱えた絵は、智くんのカラダの一回り位大きかった
どんな大作を描いてくれたんだろうってワクワクしてたら
智くんが、ちょっと眼を伏せて俯きながら言った
「…………この絵を渡す前に、僕……ちゃんと言わなくちゃいけないコトがあるの」
「言わなくちゃいけないコト?」
「…………うん」
智くんは俯いたまま返事をすると、少し視線を上げて俺を見た
その瞳に、今にも溢れそうな涙が浮かんでいる
「……智くん?」
一体どうしたのかと立ち上がった俺に、智くんが声を震わせながら言った
「………僕………僕、ね………
………思い、出してるの………
………僕が、……僕らの、………
………僕らの、………赤、ちゃんを………
…………
…………」
“僕らの赤ちゃんを”
途切れ途切れに、声を絞り出す様にそう言った後
言葉を続ける代わりに、智くんの可愛い眼から涙が零れ落ちた
「言わなくても良いよ、智くん…………解ってるから」
「しょ、くん…///」
智くんが何を言いかけて言えなかったのか…そんなコトは、すぐに解った
そして、俺はそれに気付いていた
…智くんが、俺たちの赤ちゃんのコトを思い出していたのだという事を…
でも
「ありがとう智くん、頑張って言おうとしてくれて
でも、焦らないで良いよ?
…言葉にして口にするには、君の傷口はまだ十分には癒えてはいないんだから」
「……翔くん////」
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