第39章 let's クリスマスパーティー!、の巻
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「今度さ、お誕生日の時にでもまた見せてもらう?手品」
「良いけどさ、金取られるぞ、絶対!」
「取らないよぉ(笑)」
「いーや、智くんの誕生日ならまだしも、俺の誕生日にやってくれって言ったら金取るぞ、絶対っ!!」
「あははは、やだなぁ、そんなことないってば(笑)」
本当はちょっとそうかもと思った(笑)んだけど
とりあえずそんなコトないよって笑って流すと
翔くんは「絶対取るよ」とかブツブツ言いながら、僕の手からお土産の包みを取り上げて、代わりに手を繋いだ
「あー、でもそっかぁ……年明けたら俺の誕生日かぁ」
「あと、さとしくんのね(笑)」
「あ、そう言えば同じ日だったっけか(苦笑)」
「……うん……偶然、ね」
(………偶然、か)
偶然にも翔くんと同じ誕生日の潤くんの愛息のことを思い出して
僕は彼が、来年にはお兄さんになっているだろうことをふと思い出した
僕が、新しい命を授かり…失ったすぐ後に
かつて僕が愛した人の奥さんが、新しい命を身ごもった
…それは、単なる偶然だろうけど
(………やっぱり、神様って意地悪だな)
そんなコトを思って
僕は、歩いている自分の足元を見ながら
小さな声で言った
「………僕ね、今……おっきな絵を描いてるんだ」
「そうなんだ……何の絵?」
「翔くんのお誕生日にあげる絵だから、内緒」
「そっか…じゃあ、楽しみにしてるね?」
「…………うん」
それは
画家業を再開してから、ずっと描いている絵だった
画家として描いているんだから、ちゃんと売れる絵を描くべきなんだろうけど
その絵は愛する翔くんへ贈るために描いている絵だった
…でも
(…………顔が、描けないんだよね)
「あ〜、しっかし……腹減った!!」
「もう、翔くんってば(笑)」
(……写真とか見れば、描けるかな?)
僕は、早く帰って土産の飯が食いたいって言う翔くんの雄叫びを聞いて笑いながら
次にギャラリーへ行く前に、翔くんの実家に寄ってみようかなぁ
なんて思っていた
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