第39章 let's クリスマスパーティー!、の巻
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「ははは……あ〜…あの、板さん?(苦笑)」
苦笑いしながら、皆さんの為に腕を振るっている
智くんと松本くんの昔馴染みだと言う、やたらに男前な板さんを見ると
松本くんが、相変わらず不適な笑いを浮かべたまま言った
「まあね(笑)
でも、彼の腕が良いのも確かだから」
「…智くん、昔は随分贅沢して暮らしてたんだよね…そう言えば(苦笑)」
広いリビングに並んだ豪華な『デリ』を見ながら、また苦笑いする俺
(だって、智くんは…お母さんが亡くなってから、教授のおっきなお屋敷で暮らしてて
その後、また貧乏な暮らしはしてたみたいだけど
俺と暮らす様になるまでは、松本くんが用意した豪華なマンションに独りで暮らしてたんだもんな…)
そして、時には高級別荘地でバカンスを楽しんで
こんな豪華な『デリ』を満喫していたのに違いない
俺は…計らずとも、そんな贅沢な暮らしを
智くんから奪ってしまったのだ
「……智くん……今の生活に、満足してくれてんのかな」
「してるさ」
俺の女々しい呟きに、松本くんが静かに応じる
「……そう、かな」
「ああ
…それこそあいつが、贅沢な暮らしに満足してたコトなんて、一度も無かったよ」
「………」
「あいつが求めていたのは、贅沢な暮らしじゃない
何時でも傍に居てくれて、変わりない愛を与えてくれる…
…そんな櫻井くんみたいな存在、それだけだよ」
「……///」(←照れてるし(笑))
(…やっぱ、松本くんは人間が出来てるなぁ)
「第一、贅沢な暮らしに満足してたなら、俺だってあっさりアイツに捨てられたりなんかしなかったよ(笑)」
松本くんは、やっぱ青年実業家はパナイな、とか感心している俺に、屈託ない笑顔を見せてそう言うと
再びラジコンヘリを手にとって
すっかりラジコンヘリの魅力の虜になってしまったらしいシゲル(笑)相手に、ラジコン談議を始めた
(………何時でも傍に居て、か)
「…………」(←急に寂しくなった)
(………ニノ、キレるかな?)
俺は、ニノに怒られるのを覚悟の上で、愛しの妻の元へ向かうべく、リビングを後にした
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