第39章 let's クリスマスパーティー!、の巻
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「ここに買い物に来るなら、俺に連絡してくれたら良かったのに」
「あっ?」
僕の隣を横切って、潤くんがサッと翔くんの手に握られていた伝票を奪う
それから、呆気にとられている翔くんには構わずに店員さんに声を掛けた
「君、店長にこの名刺渡して
で、この伝票俺につけとけって言って」
何ともスマートに伝票と名刺を店員さんに渡す潤くん
店員さんは戸惑いながら潤くんから渡された名刺を見ると「あっ」と小さく声をあげて
慌てて頭を下げて畏まりましたと言った
「潤くんってば、そのくらい自分らで払うのに///」
「良いんだよ、うちが払ったら会長ファミリー特権で安くつくんだから(笑)」
「会長ファミリー??」
潤くんに伝票を手から奪われた体勢のまま固まっていた翔くんが、ポカンとした顔で首を傾げる
すると、喫茶店の入り口の方から控え目な声が聞こえて来た
「わたくしの父が、このデパートを経営するグループの会長をしておりますので」
会うのは、それが初めてだった
…潤くんの、奥さんに
「ああ、そう言えば二人にはまだ紹介した事が無かったよな?
俺の妻のだよ」
「はじめまして、
………智さん」
「…はじめまして…」
潤くんとのことは、ちゃんと話をして過去にケジメをつけて
真っ直ぐに向き合える様になったハズだった
でも
潤くんの奥さんを…
…僕から最愛の人を奪った人を目の前にして
僕はハタから見ても解るだろうって位に動揺していた
そんな僕の肩を、翔くんがそっと優しく抱き寄せる
「とりあえず出ようか?
他のお客さんの邪魔になっちゃうから」
「ああ、そうだな、ソレが良い」
「………」
翔くんと潤くんに促されて喫茶店を出ると
奥さんと目が合った
奥さんは、僕と目が合うと
にっこりと品良く会釈をして、お上品に小さくお辞儀をした
「………………あ。」
奥さんに釣られてお辞儀をして、視線が奥さんのバッグに落ちると
僕は、あるものが其処に付いている事に気付いた
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