第38章 忘却の彼方に…、の巻
.
(…………あんまり気が進まないんだけどなぁ)
只今、間もなく終業時間五分前
俺は、早々と帰り支度を始めながら
密かにため息をついた
(……でもなぁ……ちゃんと誘わないと、後で何言われるか解ったもんじゃないしなぁ……)
「なんや櫻井くん、どないしたんや
難しい顔してからに」
眉間にしわを寄せつつ帰り支度をする俺に気付いた村上が、同じくそそくさと帰り支度をしながら(笑)言った
「(あーくそぉ…話し掛けられちったじゃんよー(苦笑))………うん、実はさ……」
俺は、今一番話し掛けて欲しくなかった人物に話し掛けられて、益々眉間にしわを寄せながら言った
「実は、25日にクリスマスパーティーをやるんだけどさ、家族で。」
「クリスマスパーティー?」
「ああ。うちの実家でやるんだけどさ………で、良かったら、村上も来ないかなぁ、と。」
俺は、およそ誘っているとは思えない低めのテンションでそう言うと、あんぐりと口を開けて俺を見ている村上の顔を横目で見た
「ほお!行ってええんかいな!!」
パーティーとかコンパとか、そーいったお祭り騒ぎやらイベントが大好きな村上が、嬉しそうに目を輝かす
俺は、やっぱり誘いたくなかったと思いつつも、言い訳がましく答えた
「うん……一応家族だけの集まりなんだけど
妹のやつが、家族旅行にも一緒に行った仲なんだから、村上たちも誘ってくれってしつこくってさ…」
「ほおっ!!えらい気の利くええ妹さんやなあ!!勿論、お邪魔させて頂くでえっ!!!」(←超嬉しそう)
「…そ、そうか…なんか予定があるなら無理しないで断っても良いんだぞ?」(←そして超嫌そう(笑))
「予定なんかあらへんあらへん!!喜んでお呼ばれするでえっ!!!」
「……あ、あそう(汗)」
遠回しに断ってくんないかなぁってのを匂わせてみたものの、村上には全く通じず(←笑)
俺は諦めて大きなため息をついた
「はぁあ〜………んじゃ、詳しい時間が決まったら後で教えるわ………」
「おお!解った!!」
「………(苦笑)」
俺は嬉しそうにバシバシ俺の肩を叩く村上を見て苦笑いしながら、鞄を抱えた
.