第38章 忘却の彼方に…、の巻
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「そう言えば、もうすぐ相葉ちゃんの誕生日だね」
僕が、悪夢の記憶と悲しい奇跡を胸の奥底に封印してから
一週間程が過ぎたある日
僕は、ずっと休んでいた画家業(笑)を再開させるべく、ギャラリーに来ていた
その事を聞いたニノが
昼過ぎ、自分が仕事へ行く前にアトリエに遊びに来てくれたんだけど
僕は、せっかくだから休憩がてらお茶でもしようと
アトリエから出て来て、ギャラリーにある、流石佐藤さんって感じのオシャレなテラス(笑)で、ニノとお茶をしていた
で
ニノと二人で取り留めのない話しをしてたんだけど
ふと、相葉ちゃんの誕生日って今月だったなぁ、なんて思って思わず口に出して呟いてしまったのだった
「そうっちゃそうっすけど
まあ、世間的にはクリスマスってヤツっすよね。」
ニノが僕の呟きに、我関せずって顔でお茶を啜りながら答えた
「また、ニノは(苦笑)
ね、何処か出掛けたりしないの?」
「しませんよ。
第一、店は丁度稼ぎ時っすからね
普通に仕事っすよ」
「ふぅん、そっか…大変だねぇ」
「別に大変じゃないっすよ、それに…………///」
ニノは、何かを言い掛けると急に口を噤んで
何故だか顔を赤くして黙り込んでしまった
「どうしたのニノ?
それに、何?」(←わんこの顔を覗き込むにゃんこ)
「………なんでもなぃ///」(←んで、にゃんこから眼を逸らすわんこ)
「にぃの?」(←めげないし(笑))
「………なんでもないってば///」(←でもまだしらばっくれている)
「にぃのぉ!////」(←ちょっと拗ねてみた)
「……………………仕事は仕事だけど、同じ店で働いてるから、ずっと一緒だって言おうとしただけっすよ////」(←負けた(笑))
「ああ、なるほどね(笑)」
「………/////」
ニノは、クスクス笑う僕から再び眼を逸らすと
黙って赤い顔をしたまま、ズズッとわざとらしく音を立ててお茶を啜った
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