第38章 忘却の彼方に…、の巻
「……………」
幸せな倦怠感に包まれて目覚めた朝
隣には、僕を大事そうに抱き締めた貴方の
いつも通りの可愛い寝顔
穏やかな優しさが
僕を、包んでいる
…幸せな、幸せな朝…
僕は、全てを思い出していた
「………ごめんね」
僕は、小さく呟いて
そっと両手をお腹に添えた
(ごめんね……今は、まだ……君のこと、話したくないの……
……今は、まだ……忘れたままで、居させて……
……何時かきっと、ぱぱに話すから……
……産んであげることが出来なかった、大切な大切な君のことを……)
「……んん〜……さとちぃ〜………………もう一回♡」
「……(苦笑)」
(もう、翔くんったら///)
夢の中でまだ昨夜の続きをしているらしい翔くん
その胸に、ギュッと抱き付いて
ヨダレで艶々している翔くんの唇に口付ける
「えへ……でへへへ♡」(←寝ぼけて笑っている)
「うふふ…かわぃ///」
僕は、切なく悲しい秘密を胸の中に仕舞い込んで
何時もと同じ翔くんの可愛い寝顔を見ながら
翔くんが起きたら、いきなり昨夜の続きに誘ってやろうかな
なんて、思っていた
.