第38章 忘却の彼方に…、の巻
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「「え」」
部屋の空気が
一瞬止まる
ニノとその人が…
…僕の愛する大切な貴方が
固まったまま、じっと僕を見つめている
僕は、ゆっくりと二人の顔を見回した後
腕の中の彼に
僕の、大好きなその人に
にっこりと微笑んでみせた
「ごめんね、心配ばっかかけて…
…翔くん」
「さ、智くん…!!!////」
「大野くん、思い出したんですか!?全部!!」
「全部……て、言うか……」
僕は、目に涙を浮かべて僕に問い掛けるニノに、もう既に豪快に涙を流している翔くんを腕に抱き締めたまま答えた
「……良く解んないんだけど、翔くんのコトは思い出したよ
でも、どうも……ね、今日って何月何日?」
「何月何日って……あんたの誕生日っすよ、33歳の。」
「え!?
いやぁん、寝てる間に翔くんの二個上になっちゃったぁ///」(←そこなんすか?)
「ふぇ〜〜ん、智くんカワユスぅ〜〜////」(←泣きながら萌える撫でぃ)
「いやいや、寝てる間にって…何処まで記憶があるんですか?」
「うぅ〜……なんか、食欲が無くなって具合悪くなって……んで、ニノと病院行ったトコくらいまで……
……その後どうしたのか……何の病気だったのか、覚えてないんだよね……」
「………」
ニノは僕の話を聞くと、難しい顔をして腕組みをして
それから、ギュッと眼を閉じ、ゆっくりと開いた
「……原因不明の病気で、意識不明になってたんですよ、大野くん」
「「Σえっ!?」」
「……あんたまで一緒に驚いてどーすんです。」
ニノは、僕と一緒に声を揃えて驚く翔くんを、ちろんと横目で睨んだ
「原因不明の病気って…」
僕が不安になって呟くと、それを聞いたニノが、にっこりと微笑んで言った
「大丈夫、それはもう治りましたから
だから、もう何にも問題はありません」
「……そう、なの?
でも、僕……まだ何か忘れてる気がするんだけど……」
「……だとしたら」
それまで、僕の腕の中でじっとしていた翔くんが
体を起こして逆に僕をその胸の中に閉じ込めて言った
「思い出すべき時が来たら、きっと思い出すよ」
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