第38章 忘却の彼方に…、の巻
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「ぞんだにおがじい?///」(←さとちが笑ってくれるのは嬉しいけどちょっと心中複雑な撫でぃ)
「うふふふ、だって……あ、ちょっと待って?」
ちょっとふてくされて床に胡座をかいて座っている俺の顔を見た智くんは、クスクスと笑ったままでそう言うと
リビングのテーブルの上に置いてあったティッシュを一枚手に取った
「お鼻、出てるから///」
「!!////」
智くんはそう言ってにっこりと微笑むと
つるっと俺の垂れ流れる鼻水を拭いてくれた
「……智くん……や、やっぱり智くんだ……俺の、俺の智くんだ…/////」
「え…?」
俺のことが解らない筈の智くん
俺のことを愛していたことを忘れてしまっている筈の智くん
その智くんの、以前と変わらない優しさに、再び涙が溢れ出る
俺は、胸を焦がす愛おしさと切なさに耐えきれなくなって
俺の鼻水を何の躊躇もなく拭ってくれた優しい君を
愛しい愛しい俺の智くんを…
腫れ物に触れる様に
…そっと、そっと
抱き締めた
「!!っ…///」
智くんの痩せた体が、ビクリと震えて強張る
俺は、そんな智くんを怖がらせないようにと
その背中を柔らかく抱き締めて、耳元で囁いた
「……智くん、ごめん……今だけ……ちょっとだけで良いから……
……このままで、居させて……」
「……////」
俺の囁きを聞いた智くんのふっくらとした可愛い頬が、赤く染まって熱を持つ
俺はその頬に自分の頬を寄せて、優しく智くんの頭を抱いた
「………本当に、良かった……意識が戻って……
……君が、生きてくれてて……良かった」
「……//////」
益々熱を増して行く智くんの頬
その熱を、暖かさを…
…愛する君が生きていることを、改めて感じた俺は
ちょっと体を強張らせながらも、遠慮がちに俺の背中に手を回して俺を抱き返してくれる智くんをこの胸に抱いて
その、言い尽くせない幸せを噛みしめていた
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