第38章 忘却の彼方に…、の巻
「………ぁ………ぁ、ぅぅ………/////」
ズキンズキンと、体中が脈打つ様に痛んで
血の味がする口から呻き声が漏れる
力の入らない腕で抱えたお腹へ、霞む眼を凝らして視線を落としたら
その先の……脚の間から、大量の血が流れ出しているのが見えた
「!!!////」
赤ちゃんが、死んでしまった
その、流れ出す大量の血液を見て
僕は、直感でそう思った
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ねぇ、神様
もしも貴方にほんの少しでも僕を憐れむお心があるならば
僕の、記憶を消してよ
こんな、残酷な奇跡の記憶なんか、要らないから…
全部
消してよ…
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東京へ帰る途中
高速に乗る前に、念のために会社へ入れた電話で、戸田さんの嘘に気付いた翔くんが
慌てて別荘に戻って来たのは
それから、僅か十数分後の事だった
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