第37章 嵐の到来、の巻
「いや、良かったまずは一安心ですな
でも、まだまだ不安定な時期が続きますので、引き続き安静を保って下さいね」
高島先生が、その様子をにこやかに見守りながら言う
僕は翔くんの顔をすっかりキレイにしてあげてから、高島先生に訊いた
「じゃあ、お散歩とかに出ちゃだめですか?」
「お散歩、ですか…そうですねぇ
この辺りは山ですからな、近頃は冷えて来ましたし、道が悪いので外には出ない方が良いでしょう
運動不足を解消するのでしたら、屋敷の中を少し歩くので良いと思いますよ」
「そうですか…」
「順調に胎児が育てば、後3ヶ月程で安定期に入りますからな
そうしたら外を散歩なさっても構わないでしょう」
ちょっとガッカリしている僕にそう言うと
先生はその後軽く問診をしてから、また来週来ますと言って帰って行った
「凄いねぇ、智くん…これで本当に、智くんは“妊婦さん”だね///」
先生が帰った後
僕のベッドに一緒になって潜り込んで(笑)僕が握り締めている先生にもらったエコー写真をずーっと熱心に見ていた翔くんが、ぽつりと呟いた
僕はその呟きにゆっくりと頷きながら
絡み付いていた翔くんの腕を、ギュッと抱き締めた
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