第37章 嵐の到来、の巻
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「どうかしたんですか?大野くん」
よっぽど不安そうな顔をしていたんだろう
俯いて黙り込んでしまった僕を見て
ニノが、心配そうに僕のベッドの脇にやって来た
「きっと緊張されているのでしょう
妊娠初期の妊婦さんは何かとナイーブになりがちですから」
じっと真顔で僕のお腹を見ていた戸田さんが、急に取り繕った様な笑顔を浮かべてニノを見る
ニノは、ちょっと不思議そうな顔をして僕と戸田さんの顔を見比べると
「大野くんは普段、人見知りしない人なんすけどね」
と言って、肩を竦めた
「まあ、それだけ普通の精神状態とは違うと言うことですよ
ですから、十分注意して差し上げないと
…特に、大野さんの場合は他の妊婦さんとは違いますから
普通の妊婦さんよりも、色々と気をつけて差し上げないとならないと思いますし」
「………」
柔らかい物腰で話す戸田さんの、言葉の端々に
何故だか…トゲトゲしいものを感じる
(何でだろう……凄く……なんか、いやだ///)
「そうっすね
じゃあとりあえず、貴女に使って頂くお部屋にご案内しますよ」
でもニノは特別そんなことは感じないらしい
礼儀正しく背筋を伸ばして話しをする戸田さんを満足げに見ながら、リビングの入り口を手で指し示した
「さ、此方です」
「……ニノ、もう帰っちゃう?///」
戸田さんを連れてリビングを出ようとするニノにそう声を掛けると
ニノの代わりに戸田さんが答えた
「二宮さんはもうお帰り頂いても問題ありませんよ
お聞きした所によれば、旦那様もすぐに見えるとの事でしたし
私がしっかりお側に付いて診ておりますので」
「そうっすか?」
「で、でも僕っ!
翔くんが来るまでニノに居て欲しいっ!!////」
「Σぅわっ(汗)」
思わずベッドから飛び降りてニノに駆け寄る僕を
ニノがよろめきながら抱き止める
それから
ちょっと困った様な、それでいて何だか嬉しそうな顔をしてニッコリ笑うと
優しく僕の頭を撫でた
「もう………本当にどうしたんです?(苦笑)」
「お願い……傍にいてょ、ニノ…///」
「あーたにね、そんな事言われてこの俺が帰れる訳ないでしょ?(笑)」
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