第37章 嵐の到来、の巻
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ニノがリビングを出て行った後
僕は翔くんの優しい腕に抱かれながら、ずっと微睡んでいた
ニノが、妊娠すると常に眠たいらしいって言ってたけど
普段からオネム(笑)な僕は、本当に一日中眠たくて…
その癖何故か、熟睡が出来なかった僕は
結局、朝が来るまでうつらうつらして過ごした
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「お早う御座います
私、高島教授のご紹介で参りました、看護士の戸田と申します」
別荘に来た日の翌朝
ベッドでうつらうつらしていた僕の所に、ニノに連れられて、住み込みで僕の事を診てくれると言う看護士さんがやって来た
翔くんは、朝早くに
「取れるだけの有給を取ってくる!!」
と言い、ニノと僕が乗ってきた景山さんが手配してくれた車に乗って、一旦東京に戻っていて
その時は居なかった
看護士さんは
見たところ、20代半ばくらいだろうか
ほっそりとした綺麗な女の人だった
「……お早う、御座います……よろしく、お願いします……」(←看護士さんが若い女の人だったので翔くんに色目とか使われたらヤダなぁとか思っている(笑))
「戸田さんは大変敬虔なクリスチャンで真面目な方ですから、色んな意味で心配要りませんよ
安心して下さい。」(←にゃんこちゃんの様子で心中を察っしちゃうわんこちゃん(笑))
「うん///」
「そうですよ、大野さん
どうぞ、安心なさって下さい」
戸田さんはそう言うと、ニノの後ろから進み出て
僕のすぐ目の前に立った
その視線が、僕のお腹に注がれる
「……これは、きっと神が私に与えたもうた使命なのです
ですから、私は……きっと、……いえ、必ず
必ずその使命を、果たしてみせます。」
「………………」
“神が与えたもうた使命”
じっと僕のお腹を見詰めながら、にこりともせずにそう言う彼女に
僕は、言い知れぬ不安と
…恐怖を、感じていた
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