第37章 嵐の到来、の巻
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それから夜になって、先生からニノに頼まれた機材は、準備が出来次第別荘に送るとの連絡があった
看護士さんも、すぐにめぼしい人が見つかったらしく
明日の朝には別荘へ到着するとの事だった
「ちゃんと素姓を聞きましたが、なんだか敬虔なクリスチャンらしくて
他人の秘密を漏らすような事は絶対にしない真面目な人だって言ってましたよ」
夕食を取りながら、ニノがニコニコ笑いながら言うのを
僕は、ニノと同じようにニコニコ笑ってベッドに横になったまま聞いていた
翔くんも、ニノと一緒に夕飯を食べていたんだけど
何も食べない僕を気にして
「これ、ちょっと食べてみる?」
とか
「ごはん、お粥にして持ってこようか?」
とか
頻りに席を立っては僕の傍に来て何か食べるよう勧めてくれた
でも
翔くんの気持ちは嬉しかったんだけど、どうにも食欲が出なかった僕は
翔くんに食事を勧められる度に、やんわりと断っていた
「……でも、食べないと……お腹の子の分も栄養とらなきゃだめなんじゃないの?///」(←断られ続けてちょっとヘコんでいる(笑))
「その心配はありませんよ」
どうしても何も食べない僕を見て、眉を八の時に下げて心配そうな顔をする翔くんに、ニノが言う
「妊娠初期の胎児に必要な栄養なんてのは、微々たるもんらしいですし
さっき栄養剤の点滴打ったし、水分は取れてるんですから、問題ないっすよ」
「何だよニノ!そんな他人事みたいにっ!!」(←なんかバカにされた気がしてムッとしている撫でぃ)
「俺はただ事実を言ったまでですよ
第一、無理に食わせて吐いちゃった方が体力を消耗しちゃいますからね」
「うっ…(汗)」(←ぐうの音も出ない的な。)
「…ニノったらもう、翔くんいじめないで?」
ニノに冷たく反論されて小さくなっている翔くんを見て、僕がそう言うと
ニノはふんと鼻を鳴らして立ち上がり、フキンでお上品に口を拭った
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