第37章 嵐の到来、の巻
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(……見つかったのは良いけど、何だってニノの別荘なんかに……)
俺は、相葉くんが運転する車(ニノが買った通勤用のミニ◯ーパー)の助手席に座って
オデコを車窓にくっ付けた状態でぼんやり窓の外を見ながら
ニノ(個人)が所有する別荘へ向かっていた
何故そんな事になっているのかと言えば
あれから自宅に帰って、その自宅に智くんが居ないのを確認し
(涙と鼻水を垂れ流して)途方に暮れていた所に、相葉くんがニノに言いつけられたとか言って俺を迎えに来たからだった
聞けば、智くんは前に相葉くんたちとうちとで遊びに行ったことのあるニノの別荘に居るのだと言う
それで、相葉くんが俺をソコに連れて行く様にニノに電話で頼まれたのだと言うのだ
(無事でさ、居場所が解ったから一安心っちゃ一安心だけど
病院に戻らなきゃ、智くんの体が…)
「櫻井くん大丈夫?」
車窓にデコをくっ付けてぼへっと魂が抜けた様になっている俺に
相葉くんが心配そうに声をかえる
俺はそれに「あ〜」とかって、YESだかNOだか解らない返事をした
「大丈夫だよ、櫻井くん
おーのくんは元気みたいだし
なんだか、ニノんちのお抱えのお医者さんと看護士さんが来てるみたいだし
おーのくんの主治医の先生も後から来てくれる事になってるらしいし」
「……でも、肝心の智くんの声を、まだ、聞いてねぇし」
俺は、相変わらず窓にデコをくっ付けたまま、ボソッと言った
「それは仕方ないよね、おーのくん昨夜よく寝れなかったらしくて、今寝てるって言うんだから」
「……解ってるよ、仕方ないのは
でも、だから……智くんの顔を見るまでは、安心なんか出来ねぇもん」
「そっか、そうだよね……心配して当然だよね
でも、ニノもついてるしお医者さんもいるし
大丈夫だよ」
「……解ってるよ……」
俺はまたボソッとそう言うと
ギュッと唇をかんだ
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