第37章 嵐の到来、の巻
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「……何してんだろ、僕」
僕は、冷たくなったカフェオレを少しだけ口に含んで飲み込むと
小さなため息をついた
夜明け前に、病院を抜け出した僕は、兎に角遠くへ行こうと思って雨の中を駆け出した
でも
雨でびしょびしょになって風邪を引いちゃったら、お腹の赤ちゃんに良くないんじゃないかと思い
とりあえず傘を買いに、病院の近くのコンビニに飛び込んだ
それから、買った傘をさして再び表へ出たのだけれど
今度は強風に傘が煽られて転びそうになった
転ぶなんて事は、妊婦さん(自分の事が妊婦さんと呼べるのかどうかは解らないけど)が一番やっちゃイケナイ事だと思い
僕は仕方無く
傘を買ったコンビニに戻り
そのコンビニのイートインコーナーでカフェオレを飲みながら
嵐が通り過ぎるのを待って居た
で
うつらうつらしていたら、いつの間にか朝になっていて
僕は、殆ど口を付けずに冷たくなってしまったカフェオレを飲みながら
雨が上がっていたにも関わらず、その場を動けなくなってしまっていた
それは、何故かと言うと…
(…翔くん、もう起きたかな…)
病室を黙って飛び出して来たは良いけれど
行くあてもないし、病室に残して来てしまった翔くんの事が気掛かりだったからに他ならなかった