第37章 嵐の到来、の巻
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「……俺もね、出来れば……出来ることならそうさせてあげたいけど……
……そもそも、智くんのお腹に宿った命は……“命”と呼べる存在になれるかも解らないんだ
それに
もしもそうなったとしても……こんな事、言いたくないけど……
……智くんの、お腹の中じゃ……育てられないって、先生も言ってたし……
……それで、智くんの命が危険に晒されるのであれば、それは……
……そんな事は、俺……俺……」
(……翔くんまで……僕に、赤ちゃんを……諦めろって、言うの…?)
翔くんの話を聞きながら
胸が、さぁっと冷たくなって行くのを感じる
そしてまた、息が詰まって苦しくなる
(…どうしてなの…どうして…
…僕らの赤ちゃんだよ?それを何故…)
「…………」
僕は、黙ってキツく僕を抱き締める翔くんの手を押し退けると
ベットから体を起こした
「………殺せって言うの」
「智くん…!!」
「離してッ!!///」
翔くんが慌てて起き上がってまた僕を抱き締める
僕はそれを再び振り解いてベットから飛び降りた
「さ、智くん落ち着いて…」
「何でそんな事言うの翔くんまでッ!!///」
叫びながら涙が溢れ出して
悲壮な顔をしている翔くんの顔が滲む
「智くん…」
「翔くんは、翔くんだけは一緒に頑張ろうって言ってくれると思ってたのにっ!!
頑張って産もうって、産んで育てようって言ってくれると思ってたのにぃッ!!!////」
「頑張ってもどうにもならない事もあるんだよ智くん!
君を、君を失うわけには行かないんだよだから…」
「だから僕の赤ちゃんを殺すのっ!?////」
「智くんっ!!」
翔くんがベットの上から腕を伸ばして僕の腕を掴もうとする
僕はそれを弾き飛ばして泣きながら翔くんを睨み付けた
「嫌だ触らないでッ!!!///」
「智くんっ!!」
「離してッ!!!///」
弾き飛ばされた腕をまた伸ばして、翔くんが僕の腕を捕まえる
それを振り解こうと暴れる僕の腕を掴んだまま翔くんが叫んだ
「離さないよっ!!一生離さないって決めたんだ!!俺は智くんと一生一緒にいるって!!だから君を死なす訳には行かないんだっ!!!////」
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