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Stay Gold〜翔と智のラブラブ新婚日記

第37章 嵐の到来、の巻


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優しい微笑みを浮かべた翔くんが、穏やかな声で僕に訊ねる



「智くん、気分はどう?

具合、悪くない?先生呼ぼうか?」



(………先生)



気を失ってしまう前の、先生の言葉が頭を過ぎる



(……僕は……この子を……


……諦めなくちゃならないの…?)



布団の中に残った片手を、そっと自分のお腹の上に乗せる



何時までも黙っている僕の顔を、ベッドに横になったまま翔くんが心配そうに覗き込んだ



「大丈夫?……やっぱり、先生呼ぼうか?」

「……いい……平気」

「そう?」



翔くんは心配そうな顔でちょっとだけ笑うと、僕の片手を握ったまま言った



「俺さ、今日はココに泊まって行くからね?

どの道台風が来てて、外に出られたもんじゃないから」

「………」



翔くんにそう言われて窓を見ると

半分開いたカーテンの向こうの窓に、ビシビシと激しく雨風が打ち付けられているのが見えた



「すごい雨だよねぇ、何だか今夜関東を直撃するなんて言ってたよ

でも、安心してね智くん

俺、ずっと智くんの傍にいるから」



ぼんやりと窓を眺める僕を抱きしめて、翔くんが耳元でそう囁く

僕は、自分を抱き締める翔くんの腕をぎゅっと握って

視線を窓に向けたまま言った



「……産みたい。」

「……智くん?」

「…………僕、産みたい」

「………」



翔くんの、僕を抱き締めた腕が微かに震えて、グッと力がこもる

僕はその切ない圧迫感を感じながら、同じ事を繰り返して言った



「……産みたい……」



(夢のあの子は、きっと僕の赤ちゃんだったんだ


あの子が、言ってた…必ず逢おうねって


だから、僕は…僕は産むんだ


あの子を…僕らの赤ちゃんを…)



僕はそんな事を思いながら窓の外に目を向けて

翔くんの返事を待った



それから、僕を抱き締めて黙って何か考え込んでいる風だった翔くんが

静かに話し始めた



「………智くん、あのね?

落ち着いて、よく聞いて欲しいんだ」

「…………」



少し震えながら僕を抱き締める翔くんが、僕の耳元に口を寄せて語り出す


僕はそれを、窓の外の嵐を見ながら聞いた



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