第36章 奇跡の予兆、の巻
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(……うぅ〜〜…………んん?)
またどんくらい気を失っていたんだか、次に目を覚ました時には、俺は見知らぬ場所にいた
どうやら、そこは病院の部屋らしい
辺り一面を清潔そうな真っ白な壁が覆っていた
「あ、翔くん気が付いた?」
しかし、何でまた俺は病院なんかに居るんだろうかと
薄目を開けてしばらくぼへーっとしていたら、真横で愛しい人の声がした
「Σはっ!!……ささささ智くんッ!?」
愛しい智くんの声に、一気に覚醒する
そして、ニノから聞かされた話が頭の中でプレイバックされた
「智くん大丈夫!?
おおお腹っ!!お腹ぁっ!!!(泣)」
どうも、俺は智くんがいる病院の、智くんのベッドで横になって居たらしい
すぐ隣に同じように智くんが寝ころんでいて
俺はガバッと起き上がると、わたわたと智くんのお腹の上数センチのところで手をばたつかせた(←怖くて触るに触れなかった(笑))
「……ニノに、聞いたんだね?///」
わたわたと所在なさげにぶらつく俺の手を、キュッと握り締めて
智くんが、握った俺の手を自分のお腹の上に着地させた
それから智くんは、俺の手を握ったのと逆の手に握っていた紙切れを俺に見せた
「……な、なに、これ…?」
「何だと思う?」
「う〜ん……………エコー写真?」
「正解(笑)
さすが翔くんだね///」
智くんはそう言いながら照れ臭そうに笑うと、起き上がって俺の(撫でった)肩に頭を乗せた
「……これ、僕のお腹の中なんだって///」
「そう、なんだ…///」
「うん。……でね?
真ん中に、小さい丸いのが写ってるでしょ?」
「うん」
「それがね……僕のお腹の中に出来た、…………赤ちゃんの、種かも知れないんだって////」
「赤ちゃんの………種?」
「うん////」
智くんは、真っ赤になった頬を、スリスリと俺の(撫で)肩に擦り付けながら言った
「まだ、ハッキリは解らないみたいなんだけど……
……もしも、本当に僕が………に、妊娠していたとしたら、ね?/////」
「うん///」
「この丸いのが、“たいのう”って言う、これから赤ちゃんになる可能性のある種かも知れないって
主治医の先生が言ってたの////」
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