第36章 奇跡の予兆、の巻
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「お加減は如何ですかな
気分が悪かったり、何処か痛むところはありませんか?」
ニコニコと優しい微笑みを浮かべながら
僕の主治医になってくれたらしい教授先生が言う
「はい……特には……」
「そうですか、それは良かった」
教授先生はニコニコ笑ったままそう言うと、ベッドのすぐ脇に立った
「二宮さんは、いらっしゃらないようですが…」
「え?ああ……今ちょっと電話をしに行ってくれてて…///」
「そうですか」
教授先生はそう言うと、今度は真顔になって言った
「ところで、大野さん
少し不躾な事をお伺い致しますが……仮に、大野さんが妊娠していたとして
父親に当たる方は、二宮さんなのですかな?」
「え………Σえっ!?
ちちちが違いますッ!!(汗)」
「おや、違いましたか(笑)」
ニノが父親なのかと訊かれて大慌てで否定する僕を見て、教授先生がまた笑う
僕は何だか恥ずかしくなって、布団を口元まで被った
「いやいや、コレは失礼致しました(笑)
随分仲が良さそうでらしたし
二宮さんの大野さんに対する態度を見てそうなのではと思ったのですが…
…では、他にそれに該当する方の心当たりはおありですか?」
「あ、あります………って、言うか……
……万が一そうだとしたら、父親になる人は1人しか居ません
……今、一緒に暮らしてる……旦那様、です////」
「そうですか、それはまた失礼な事を申してしまって、申し訳ありませんでしたな(笑)」
「………いえ////」
真っ赤になった顔を布団で半分以上隠した僕に、教授先生が更に質問する
「では、ご主人様が今何処にいらっしゃるかは、当然ご存知ですな?」
(ご主人様…////)
偉い教授先生に、翔くんの事をサラッと“ご主人様”なんて言われて
益々顔が赤くなる
お陰で僕は恥ずかしくて布団から顔を出すことが出来ず
眼だけを布団から覗かせた状態で答えた
「/////はい……今、二宮くんが連絡しに行ってくれてます/////」
「ああ、そうだったんですか」
教授先生はまたニコニコしながらそう言うと、ポケットから紙切れを取り出した
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