第36章 奇跡の予兆、の巻
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「………………」
(…………妊娠…………した、の…………?)
僕は、特別室のベッドの上で横になりながら
ぺったんこなお腹に手を置いて
じっとソコを見詰めて呟いた
「……僕と、翔くんの、赤ちゃんが……………居る、の…?///」
ずっと
赤ちゃんが欲しいなぁって思ってた
自分が赤ちゃんが産める体だったらどんなに良かったろうって思ってた
だけど
現実にはそんな事は有り得ない筈だった
だって、僕は……
「……男……だよ、ね……?」
じっと見詰めていたお腹から、視線を股間に移動させる
「…………/////」(←やっぱ男だよなぁと思っている)
(じゃあ、何故……男の僕に、どうして赤ちゃんが出来るの…?)
確かに
ココ数日の体調不良は、ドラマとかでよく見かける妊娠の初期症状に似ている気がした
だけど、それはあくまでドラマの話しだし、第一に自分は男だし
どう考えたってソレが妊娠と結び付くなんて考えも及ばなかった
それなのに…
「………急に、妊娠してるかもとか言われても………」
全くもって、何の現実味も無ければ一個も実感が湧かない
「…………はぁ///」
(………翔くん、大丈夫かなぁ///)
衝撃的な可能性を聞かされた後
ニノが速攻で「櫻井さんに連絡して来ます」と言って部屋を出て行った
その後、僕は更に幾つかの検査をして、また特別室に戻って来たのだけれど
ニノはまだ戻って来ないし
お医者さんも「此方のベッドで横になってお待ち下さい」って言って部屋を出て行ったきり、戻って来なかった
(僕が妊娠したかも知れないって聞かされて……翔くん、倒れちゃったりしてなきゃ良いけど……)←見事に失神してましたよ(笑)
「……………はぁあ///」
─コンコン
「大野さん、宜しいですかな?
入りますよ」
─ガチャ
ここへ来て何度目か解らないため息をついている所で
ドアをノックする音がして、ニノが紹介してくれた、偉い教授先生が部屋に入って来た
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