第36章 奇跡の予兆、の巻
.
「しかし、どうしたんですか?
また何か悩み事でもあるんですか?」
ニノが、自分が持って来たレタスサンドをちまちまかじる僕を見てため息混じりに言う
僕は、ちびちびレタスサンドをかじりながら、首を振った
「……別に、何にも悩み事なんてないよ?」
「じゃあ、どうしたんです?……随分痩せちゃってますけど」
「ん〜………解んない///」
今週はたぁちゃんちに行かなかったので(←筆が進んでる時はたまに行かない時があるらしい)ニノとは、この前の土曜日にBARで会ったきり会って居なかったんだけど
その一週間足らずの間に、見た目で解る位に痩せていた僕を見ながら
ニノが渋い顔をした
「解らないって……病院は?」
「行ったけど、疲れかストレスだろうって…」
「疲れ?
最近また激しいセックスにハマってんじゃないでしょうね?」
「ハマってないよ!///
第一、僕の調子が悪いからここ何日かエッチしてないし////」
「あ、そうなの」
ニノは、「そうか、撫でぃは誰かさんと違って嫁が具合悪い時は襲わないんだな」とかブツブツ言うと
自分で買ってきたペットボトルの紅茶を啜った
「……俺、良い医者を知ってるんで、紹介しましょうか?」
「お医者さん?」
「うん、大学病院の教授に知り合いが居るんすよ
俺が頼めば、格安で精密検査してくれると思いますけど」
「精密検査?……って、入院する?」
「まあ、するでしょうな」
「ええ〜?………じゃあ、ヤダ////」
「ヤダってあんた…」
入院と聞いて何色を示す僕を見て、ニノが更に渋い顔をする
僕は、手に持っていたレタスサンドを紙袋の上に置いて俯いた
「……嫌なんだ……色々、思い出しちゃうから……」
「…………大野くん」
「………」
病院には、良い思い出なんか一個も無かった
まあ、大抵の人はそうだろうけど
…僕にとって病院は、それイコール、別れを連想してしまう、悲しい場所だったから…
.