第36章 奇跡の予兆、の巻
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「はぁ〜、夜風が冷たくて気持ちいいねぇ、翔くん///」
「そうだねぇ智くん、もうすっかり秋だよねぇ」
相葉ちゃんとニノのBARに、何時もより早く行った為、何時もより長居していた僕らは
何時もよりちょっと早めにBARを出た
駅までのちょっと長い道のりを
二人仲良く手を繋いで歩いて行く
そんな僕の
何時もよりもちょっとアルコールが多く入って、何時もよりちょっぴり火照った頬を
秋めいた風が冷やして通り過ぎて行った
「はぁ…秋だねぇ、本当に……くちゅん///」
「Σ智くん大丈夫!?寒くなっちゃったんじゃないの!!?////」
吹き抜ける風に晒されて、ちょっと冷え過ぎちゃった僕が、小さくくしゃみをするのを見て
翔くんが、僕を大慌てで抱き締めて、心配そうに僕の体を擦った
「寒い?大丈夫??///」
「んん〜…そんな寒くはないけど、ちょぴっと冷えちゃったかも///」
「ああ智くん可哀想に!!
昼間は暖かかったからちょっと薄着だったんだよね!?
風邪引く前に早く帰ろう!!」
「うん///」
小走りになった翔くんに肩を抱かれて駅に向かって
たどり着いた駅のホームで大事に抱えられ体を温めてられて
ちょっと冷たくなった手をにぎにぎされながら電車に揺られて
僕らの我が家に帰宅する
「体冷えちゃってるでしょう?すぐお風呂入ろう!」
玄関に入ると、翔くんは靴を脱ぎ散らかして真っ先にお風呂場に走って行った
僕はその背中を見ながら靴を脱いで、二人分の靴を下駄箱に仕舞った
「もうすぐに入っちゃおう
シャワーでお湯溜めてるから湯気で浴室暖かくなってるからさ」
「………うん///」
僕は返事をしながら、お風呂場から顔を出した翔くんの逞しい胸に、ムギュっと抱き付いた
「智くん?///」
翔くんが
自分の胸に抱き付いた僕の背中を優しく撫でながら
心配そうに僕の顔を覗き見る
僕は、何時と同じ優しいその気配を感じながら
眼を閉じて呟いた
「………あぁ、やっぱり………
………僕って、しあわせ者だなぁ///」
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