第35章 夢のあとのその先(後編)、の巻
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「………………………明日は、嵐だわ/////」
「妻にキスするのが、そんなに珍しい出来事なのか?」
「珍しいです
……さとしを身ごもった晩以来……初めてですもの////」
「そうだっけなぁ(笑)」
「そうです……明日は嵐です……雹が降ります////」
「ははは
じゃあ、やっぱり動物園は来週にしよう
今から車でお前の実家から残りのぬいぐるみを持って来てやるから
さとしには、それで我慢してもらえば良い」
「………/////」
恥ずかしそうに頬を赤らめたまま、妻が俺を見詰める
その顔を見て
俺は
我が子を身ごもった彼女を
とても、愛おしく思った事を思い出した
「なあ、今夜は外食にしよう
そのついでの帰りに、ぬいぐるみを取りに行けば良い
そうしたらお前も、食事の片付けをしなくて済むだろ?」
「………私がお食事のお片付けをするしないが、貴方のご都合と何か関係があるんですか?///」
「あるさ」
俺は、もう一度
あの夜以来の口付けを妻の唇に落として
今まで彼女に聞かせた事が無いような、甘い声で囁いた
「さとしも、もう大きくなったし
そろそろ、二人目が欲しいだろ?
…………」
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なあ、智
俺はお前を愛している
俺は、一生
お前を愛し続けて生きて行くだろう
だけど、智
俺たちには、それぞれに大切な家族が居る
お前には、櫻井くんが
俺には、可愛い妻子が居る
だから、智
俺はお前への愛を抱いたまま
俺の家族を愛すよ
それが
お前の望んでいる
俺たちの未来だろうから……
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「…………どうした?
なに固まってるんだ?」
「…………こわぃ////」
「は?」
「だって私………あ、アレ以来一度も………////」
「……………マジ可愛いな(笑)」
「え…?///」
「いや、こっちの話し(笑)
大丈夫だよ、優しくするから」
「で、でも、だって…//////」
「……大丈夫だよ……」
「……………ん/////」
な、智。
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