第35章 夢のあとのその先(後編)、の巻
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「……そう……」
(…ここで、1人でね…)
俺は、すっかり片付いているリビングのテーブルを見た
「…………」
松本くんは、ここで酔いつぶれて眠る俺らを見ながら酒を飲んで
一体、何を考えて…どんな想いでいたのだろう…
「……翔くん、ありがとうね///」
「ん?」
相葉くんはともかく、俺と智くんが並んで爆睡する姿を見せるのは、さすがに酷だったんじゃないのかな
なんて思っていたら
智くんが俺に抱きしめられたまま、ちょっと顔を上げて急にお礼を言った
「何?何がありがとうなの?」
「うん……僕と潤くんを、二人きりにしてくれたでしょ?」
「ああ……まあ(苦笑)」
智くんが松本くんとお買い物に出た後の自分の醜態を思い出し苦笑いする俺
その俺に、智くんがぎゅうっと抱き付いた
「…少しずつだけど…きっとね、僕ら良い友達になれると思う///」
「そっか……良かったね、智くん」
「うん///」
智くんは、可愛く照れ笑いをすると
ぎゅうぎゅうと顔を俺の脇腹辺りに擦り付けた
(……って、そんなコトされたら落ち着かなくなっちゃうんすけど(汗))
「次はぁ、翔くんの番ね?」
智くんの可愛い過ぎる挙動に、何時も通り息子が過剰反応しそうになって密かに焦っていたら
智くんがお顔すりすりを続けながら言った
「俺の番?」
「うん……翔くん、潤くんと二人きりでちゃんと話したコトないでしょ?」
「え?……うん、そりゃあ……」
「………昔はね、怖かったんだ」
“怖かった”と言いながら
智くんの、お顔すりすりがピタリと止まる
俺は、その止まってしまった顔を覗き込んだ
「怖かった?
……俺が、松本くんと二人きりで話すの…が?」
「………うん」
智くんは、俺の脇腹に顔を押し当てたまま、顔を上げずに
小さい声で、胸の内を語り始めた
「…最初はね…
…翔くんと、知り合って…愛し合うようになったばかりの頃はね…
…僕、翔くんが潤くんと二人きりで話すのなんか…怖くて…絶対に嫌だった」
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