第35章 夢のあとのその先(後編)、の巻
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(……怖かった、か……)
そう言えば何時だったか
智くんがまだちゃんと松本くんとサヨナラをする前に
智くんが別れを切り出せないなら自分が松本くんと話をつけると言った俺に、智くんが
“怖いからだめだ”
と、震えながら言っていたコトを思い出す
「……潤くんが……僕のことで我を失って……翔くんを傷つけやしないかって……怖かった……」
智くんが、その時と同じように、震えながら語る
「……あの頃の潤くんは……何時も……なんて言うか……
……ピリピリして、ギラギラしてて……凄く……怖かった……」
「………」
僕は、にわかに震えだした智くんの背中を
そっと優しく…ゆっくりと撫でた
「………でも、ね?」
智くんは、俺に背中を撫でられて、ちょっとくすぐったそうにすると
顔を上げてにっこりと微笑んだ
「でも、今は…
…なんだか、丸くなったって言うか……すごく、穏やかになったって言うか…
…だから、ちゃんと翔くんの話しを聞いてくれると思うんだ///」
「……そっか」
「うん///」
智くんと松本くんの間には、語り尽くせない程の色々なコトが合ったに違いない
智くんをそんなにも怯えさせる、色々なコトが…
でも
色々あった二人だからこそ……本当に解り合える友達になれると言えるのかも知れない
(今度は、俺の番……か)
俺は、智くんの背中を撫でる手を止めて、その顔をじっと見詰めた
「……俺も、さ……松本くんに、話したいコトがあるんだ」
「話したいコト?」
「うん」
「なぁに?」
「ふふっ……智くんには、内緒(笑)」
「えぇ〜、なんでぇ///」
「ふふふっ……松本くんに話せたら、後で教えたげるよ(笑)」
「んん〜…………わかった////」
「ふふふ……さて、もう一眠りしますかね?」
「うんっ♡」
俺は、愛しい妻の背中を抱いたまま、リビングの端っこで豪快な鼾をかいて眠る相葉くんの隣に移動すると
そのまま智くんを抱きかかえたままで、再び眠りについた
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