第34章 夢のあとのその先(中編)、の巻
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それがどうしたんだと言わんばかりに素っ気なく答えるニノ
僕は、そんなニノに……ちょっと、意地悪を言った
「……でも、心配してたって言う割にはさ、ニノ
あの時電話で、潤くんが構ってくれないなら、翔くんと遊んじゃえとか言ってたじゃない」
「それは……」
ニノの手が止まる
僕は、その止まってしまったニノの
ハンバーグみたいに可愛い手をぎゅっと握った
「……どうして、あんなコト言ったの?」
「………」
ニノは、僕に握られた自分の手をじっと見ながら俯いて黙ってしまった
それから暫くして、大きく息を吐き出してから
ちょっと泣きそうになっている顔を上げた
「………潤くんには、申し訳ないって思ってるよ……
……だけど……
……でも…だって……
………大野くんが、可哀想過ぎて……」
「だから、よその男と浮気しちゃえって?」
「………」
僕がそう言うと、ニノはまた俯いてしまって
それからまた暫く黙ってから、小さな声でボソボソと話し始めた
「……………相手が櫻井さんじゃなかったら、あんなコト言わなかった」
「………」
「………櫻井さんが……本当に、良い人だって、知ってたから……
……それに、櫻井さん……本当に大野くんのコトが好きなんだって、雅紀から聞いてたし……
だから、絶対に大野くんを悲しませる様なことはしないだろうって、思って……」
「……そっか///」
(……相手が、翔くんだったから……か///)
なんだか、暗に翔くんを誉められた気がして嬉しくなる
僕は、ニノの手を握ったまま、ちょっと恥ずかしくなってニノと同じ様に俯いた
でも、ニノは僕のその様子が違う風に見えたらしい
小さな声で、僕に謝ってきた
「……ごめん、大野くん……」
「なんでニノが謝るの?」
「……だって俺が……俺……まさか、二人が本当に……」
「でもさ、ニノ」
僕は、今にも零れそうな程に涙を浮かべて瞳を揺らすニノの手を
もう一度強く握り締めた
「ニノに浮気しちゃえなんて言われる前にもう……僕、浮気しちゃってたんだよ」
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