第34章 夢のあとのその先(中編)、の巻
「…智…」
潤くんが、僕の名を呼びながら、両手で僕の頬を包む
…キスするつもりだ
そう、思ったけど
それでも僕は動かずに、潤くんの眼をじっと見詰めた
「僕の唇はもう、翔くん以外の人には、許さないよ」
僕は、じっと潤くんの瞳を見詰め続けた
どんなにあの頃を懐かしく思っても
僕の心も体も……僕の全ては翔くんだけのモノなんだと
心の中で強く想いながら…
「………やっぱり、お前の方が大人なんだな」
しばらく黙って難しい顔していたその表情が緩んで
潤くんがぽつりと呟いた
それを聞いて、僕も力が抜ける
「そうだよ今頃気付いたの?
だから、これからは“智さん”ってよんでね?」
「やだよ」
「うふふ…僕もやだ」
「……(苦笑)」
ふざけ合う潤くんの苦笑いに、切なさが滲んで居るのに気付きながら
僕は、敢えてそれに気付かないフリをして言った
「そろそろ適当に買い物済ませて帰ろうか?
僕の可愛い旦那様が、僕の帰りを首を長くして待ってるだろうから♡」
「またノロケかよ(苦笑)」
「んふふふふ////」
まだ、友達と呼ぶにはぎこちなさ過ぎるけど
きっとそうなれると思える雰囲気を漂わせて
僕らは、ようやくスーパーへ買い出しに向かった
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