第34章 夢のあとのその先(中編)、の巻
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教授の元を黙って去り
そして僕は、何年も独りで寂しい時間を過ごしていた
その孤独は、自分が望んで選んだモノだったけど
元々寂しがり屋だった僕を、更に寂しがり屋にさせてしまったのも事実だろう
だから僕は、潤くんに再会した後も、幸せだったのに寂しくて…何時も何故だか不安だった
…だから、1人になるのが怖くて…
…自分は独りじゃないんだって、実感したくて…
潤くんとの繋がりを、求めていたんだと思う
「…一人になるのが怖かった…
…ずっと潤くんを感じてたかった…
…ずっとずっと…
…潤くんの熱に包まれてたかったんだ」
僕は、潤くんに寄りかかったまま
ずっと胸の中に仕舞っていた想いを吐き出した
僕の告白を聞いて、潤くんが僕の肩を優しく抱いて囁く
「智…俺も…
…一時だってお前を離したく無かったよ…
…何時でもお前を抱きたかった…
…離れてた分…いや、それ以上に…
……お前が壊れるほどにね」
「んふ、じゃあきっと、僕その頃壊れてたんだね」
おどけてそう言いながら、僕は潤くんの言ったセリフを心の中で繰り返した
“壊れるほどに”
「…………」
その、激しすぎる愛が
結果
本当に2人を壊してしまったのかも知れない
そんなコトを思っていたら、潤くんの僕の肩を抱いた手に、ギュッと力が入った
どうしたんだろうとその顔を見上げる僕に、潤くんが言い難そうに言った
「…怖くなかったの?」
「ん?何が?」
何のコトだろうと首を傾げる僕に、潤くんが珍しく小さく頼り無い声で言った
「…無理矢理奪われたのに…男に抱かれるの……
………怖くなかったの?」
「…………」
全く怖くなかったと言ったら
それは、嘘になるかも知れない
だけどあの時の僕は
恐怖よりも、潤くんの腕の中で全てを忘れてしまいたい気持ちの方が遙かに勝っていた
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