第34章 夢のあとのその先(中編)、の巻
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(……潤くん、そんなコトも気にしてたんだ)
やっぱり僕が、潤くんを…
…かつて、自分の全てだった人の心を、未だに縛り付けて苦しめてるんだ
そう思ったら、悲しくて切なくて…
…その息苦しさに耐えきれなくて
僕は、潤くんから視線を逸らした
「…だから、僕、淫乱なんでしょ?」
(違う、そうじゃない…そう言うことじゃないんだ…)
「…ごめん悪かった…こんな事聞くもんじゃ…」
視線を逸らす僕を見て、申し訳なさそうな声を出す潤くん
(違うの…そんな顔して欲しくないんだ…
…僕は、大丈夫だから…もう、大丈夫だから…)
僕は潤くんに、僕に対して罪悪感を覚える必要なんか一つも無いんだって伝えたくて
正直に、あの時思っていたコトを口にした
「…書き変えたかったんだ」
「…え?」
「あの、忌々しい感触を…
…消したかった…
…だから、乱暴に抱かれるんで丁度良かったんだ」
(…だから、もう…良いんだ…)
涙が……それまで仕舞い込んで隠していた想いと一緒に
溢れて零れる
「潤くんのこと利用してたんだ…
…僕…もしかしたら、潤くんじゃなくても良かったんだから…
…僕の身体からあの記憶を消してくれれば…
…誰だって…良かったんだ」
最低だって、解ってる
そんなコトを今更聞かされて、もしかしたら潤くんは余計に傷付くかも知れない
でも、ちゃんと聞いてもらいたかった
あの時の僕の不実さと狡さを
…ちゃんと…
…そうじゃなくちゃ、僕らは、前に進めない気がしたから…
「…言ったでしょ…僕は悪魔だって…
…僕は自分の身体を使って、潤くんを利用してたんだ」
潤くんを見詰める僕の眼からは
吐き出した気持ちと一緒に、涙が溢れ続けていた
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