第34章 夢のあとのその先(中編)、の巻

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何を言いかけたんだろう


…何が、言えなかったんだろう…



そう思いながらも、僕は敢えてそれ以上は何も訊かなかった



「…そう」


僕は、そう一言だけつぶやくと、ソレ以上は何も言わずにまた歩き出した



(……言いたく無いことを無理に言わせる必要なんかは無いんだ

ただ、解ってもらいたい

…もう、あんなコト忘れてイイんだって…


…あんなコト、チャラに出来るくらいに、僕は潤くんを愛してて、幸せだったんだって…

…知ってもらいたい)



そんな思いで、胸が熱くなって


…僕は危うく泣きそうになるのを堪え、精一杯明るい声を出した



「…潤くんが、僕の事迎えに来たくれた時…凄く嬉しかった」



潤くんはそれを聞くと、ちょっと笑いながら言った



「本当はもっと前にお前があの場所に居る事知ってたんだ」

「知ってる…後からニノに聞いた」

「あのオシャベリカズナリめ」



潤くんが、ふざけ半分怒った顔をする

僕は、そんな悪口言えるの潤くんと僕(←笑)くらいだよなぁなんて思って笑いながら話を続けた



「うふふ…でも、ホントに嬉しかったよ…幸せだった」

「あの頃に戻れたら、自分に仕事よりお前を選べって言ってやるよ

…お陰で一番大事なものを失うはめになるって」

「……………」



悔しそうにそう言う潤くん

僕は、潤くんと繋いだ手にキュッと力を入れた



(…確かに、潤くんが結婚なんかしなかったら、僕らはまだ続いてたかも知れない


………………でも)



「…………そんなの潤くんじゃないよ」

「え？」



僕は、また泣きそうになるのを誤魔化す様に、ちょっと悪い顔を作って言った



「身勝手で、強引で、激しくて…でも、繊細で、壊れやすくて、臆病で…儚い…


…潤くんは、そうゆう人…危ないから…惹かれる」



そう


そんな潤くんだったから……僕は、惹かれたんだ……



「…………お前は」



僕がそう言いながら潤くんの腕に絡みついて寄りかかると

潤くんが、困った様に笑った



「…お前は、残酷なヤツだな」



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