第34章 夢のあとのその先(中編)、の巻
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「良いんですかぁ?二人っきりで行かせちゃって?」
智くんが、急に松本くんと二人で買い出しに出かけてしまった後
二人が出て行ったドアをじっと見つめている俺に、ニノが嫌みったらしく言った
「うん………良いんだよ」
俺は、ドアを見たまま返事をした
(だって、解ってるから……智くんが何で松本くんと二人で買い物なんかへ行こうと思ったのか)
あの傷痕は
二人にしか解らない辛い思い出の象徴だった
そして
それを見る松本くんの眼は、過去の思い出を見る眼ではなく
…今尚続く痛みを感じている様にしか見えなかった
実際、きっとそうなのだろう
彼にとって智くんのあの傷痕は、その時の辛い情景を
まるで今起きた出来事の様に、生々しく感じさせるものであるのに違いない
でも
智くんは、松本くんにそんな眼をさせたくないんだろう
…だから、二人で出掛けたのだ
その痛みを、どうにかして払拭させてあげる為に。
「…………………」
(………って、そうでなくて単純に二人切りになりたかっただけとかだったらどうしよう!?)
「あ〜あ、本当に良いんですかねぇ二人っきりで行かせちゃって
潤くんは完璧大野くんのこと忘れてないし
大野くんは大野くんで、ハッキリ今でも潤くんのコトが好きだとか言ってたし?」(←更に追い討ちをかけるわんこ)
「…………………(汗)」(←めっちゃ不安になって来た)
「ニノったらだめじゃん!そんな本当のコト言ったら!!」(←笑)
「Σひぃいーーーッ!!!(泣)」(←パニック発動(笑))
「…しゃくらぃ、うっじゃい。」(←真顔で悪態をつく二歳児)
「うるせぇえーーーーッ!!!(怒)」(←そして幼児相手にまたキレる撫でぃ)
「…お前がな。」(←だよねー。)
「あははははは(笑)」(←んで、何故かツボる天然さん(笑))
「うがーっ!!やっぱ俺も行くぅっ!!!(泣)」
俺は何故か爆笑している相手くんにまた羽交い締めにされながら
智くんと松本くんを二人きりで送り出してしまったコトを
若干、後悔していた。
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