第34章 夢のあとのその先(中編)、の巻
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(……潤くん、やっぱりまだ気にしてるんだ……
……この、怪我のコト……)
僕は、再びさとしくんを膝の上に抱きながら
自分の脇腹を見た
さっき、さとしくんが僕のシャツを捲った時に顔を覗かせたあの傷痕を
潤くんは、まるで自分の傷が痛むかの様に辛そうな眼をして見ていた
(……もう、良いのに……こんな怪我のことなんか、忘れて良いのに……)
確かに
この傷は潤くんが付けたものだ
だけど、アレは不可抗力だったし
そもそも、僕に怪我をさせようと思って居た訳ではなく、寧ろその逆で
強姦犯から僕を守ろうとしてくれた結果、誤って僕を刺してしまっただけなのだ
それも
僕が、あのストーカーを刺そうとした潤くんを止めようと2人の間に割り込んだのが原因だった
「ね、翔くんをお願いね?」
「は?何で俺がこんな面倒くさい撫で肩の面倒を見なくちゃなんないんです?」(←ものごっつ難色を示すわんこ)
「い〜よぉ〜♪」(←でも相方が快諾(笑))
「んふふ…よろしくね相葉ちゃん♡」
僕は、ニノと相葉ちゃんに、えぐえぐ泣きながら
「智くんのパイオツは俺のモノだ」
とかブツブツ言っている翔くんを任せて
難しい顔をしている潤くんの元へ、さとしくんを抱っこしたまま行った
「…潤くん?大丈夫?」
「…………」
僕に声を掛けられると、潤くんは無言で片方の眉を上げて「何が?」って顔をした
僕は、その凛々しい眉毛を見ながら、静かな声で言った
「…凄く、難しい顔してるよ?」
すると、それを聞いたさとしくんが
父親の顔をじっと見ながら言った
「ぱぱ、おかおが、こいい」
(こいいって(笑))
「さとしくん“こいい”じゃなくて“こわい”ね?」
「こわい!」
僕が訂正してあげると、さとしくんは元気に言い直した
(ま、本当のトコは言い間違ったのかどうか解らないけどね(笑))
そんなコトを密かに思っていたら、潤くんが渋い顔のまま言った
「そうか?別に何でもないけど?」
(潤くんってば、思い切り眉間にしわが寄ってんの、自分で解ってないのかなぁ?)
「…ねえ、お腹空かない?買い出しにいこうよ
………ふたりで。」
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