第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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ニノにそう言われて、潤くんは焦った様に言い訳をした
「ウルサイよ!お父さんって小さい子には言いにくいんだよ!!」
「…またまたぁ…照れちゃって、パパったら♪」
「ニノお前が言うな(怒)」
わいわい楽しそうに(?)言い合いをするニノと潤くん
(………パパかぁ)
僕は、僕を抱き締めたまま、ニノと潤くんの様子をポカンと口を開けて見ている翔くんを
チラッと見た
(……翔くんも、本当だったら……今頃普通に女の人と結婚して『パパ』って呼ばれてたのかなぁ)
そんな想いが胸に一瞬宿って、キリキリとソコを締め付けた
僕はその痛みを誤魔化すように、わざと拗ねた様な声を出して言った
「…いいなぁ…僕も、子供欲しいなぁ…」
「Σ!!!!!」
それを聞いて、翔くんが面白い位に動揺して飛び上がる
それから
飛び上がった拍子に尻餅をついたままの体勢でわなわなと震えると、首を小刻みに振って言った
「ささささ智くんっっ!!ごめんっ!!俺がふがいないばっかりに…」
「櫻井くん、おちついて!だれがあいてでも、おーのくんハラますの、ムリだから!」
動揺しまくる翔くんを、相葉ちゃんが宥める
それを半笑いで見ながらニノが僕に言った
「…養子でも貰えば?」
(……養子ねぇ……)
僕は、相葉ちゃんに宥められている翔くんを横目で見ながら
まだ拗ねているふりをして言った
「んー、でもさ、ニノ…産んでみたくない?…子供」
…それは
半分冗談で、半分本音
絶対に有り得ないから、冗談だけど
そうなったら良いのにって言う、僕の哀れな願望。
「ああああっ!!!智くんっ!!俺がっ俺がぁ!!」
「おちついてって!!」
(………でも、良いんだ……こうやって何時でも僕のコト真剣に想ってくれる貴方が傍にいてくれるから……)
僕は、焦り過ぎて顔面蒼白になった翔くんの顔を見ながら
ちょっと切なくて、ちょっと擽ったい様な幸せを噛みしめて
翔くんの、可愛い慌てっぷりを見ていた
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