第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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(……でもそうだよなぁ…普通じゃ考えられない話しだよな(苦笑))
俺は、再び激ウマ愛妻弁当を口に運びながら言った
「……まあ、色々あってさ。」
「はぁ…色々ねぇ?」
「うん……智くんは、色々ある人だからね(笑)」
「ふぅ〜ん……俺やったら裕子りんの元彼なんか顔も見とおないけどな
てか、あったらボコりそうで怖いわ(笑)」(←裕子りん元彼となんかあったんすか?(笑))
「ははははは
俺は死んでもボコれないなぁ(笑)
…なんせ、俺は元彼から智くんを奪って手に入れたんだから
ボコられるとしたら、俺の方だし」
「…………」
俺の突然の略奪愛暴露(笑)に、村上が言葉を失って俺の顔をガン見する
俺はその視線を感じながら、弁当を食べ続けた
「…………智くんが、幸せだってトコを見せてあげるのも
あの人から智くんを奪ってしまった俺の、言わば義務みたいなものだと思うんだ」
弁当を粗方食べ終わったところで俺が口を開と
村上が(本日裕子りんが寝坊したため仕方なしに購入した)買い弁の空箱をゴミ箱に突っ込みながら言った
「……なんで幸せなトコを見せなあかんねん
てか、普通そんなん見るのイヤなんとちゃうか?元彼は。」
「そうだね
でも……あの二人の場合は、ちょっと違うから」
「………ふぅ〜ん」
村上は、ちょっと納得が行かないと言う顔で、いい加減な相槌を打った
それを見て、俺は最後のご飯粒たちをキレイにかき集めて口に放り込むと
それをちゃんと全部飲み込んでから(笑)言った
「……松本くんは……俺が智くんに出逢った頃に、仕事の関係で仕方なしに結婚したんだよ……勿論、智くん以外の人とね
だから松本くんは
自分が不幸にしてしまった智くんに、本当に幸せになってもらいたいって願ってるし
…智くんも、自分はこんなに幸せだから、心配しないでってのを、松本くんに見せたいんだと思うんだ」
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