第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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ニノにストローを取り上げられながら、僕がボソッと呟くと
ニノは、ちょっと複雑そうな顔をして笑いながら言った
「アンタのことを迷惑だなんて潤くんは死んでも思わないだろうけど
潤くんは、まだ大野くんの事が忘れられないんですから
やっぱ、心中穏やかでは居られないと思いますよ?」
「……………迷惑なやつだ位に、思ってくれたら良いのに…………」
僕はニノにストローを取り上げられてしまったので
カフェオレをかき混ぜる代わりに、ストローが入っていた袋を弄くりながら言った
「は?
それこそどう言う意味っすか?」
僕が、迷惑なやつだって思って欲しいなんて、おかしなコトを言うもんだから
ニノが声を裏返してそれを聞き返した
僕はそれに、ぶちぶちストローの袋を千切りながら答えた
「うん、だからね?
なんだお前、迷惑なやつだなって、笑い飛ばしてくれるような…
…そんな関係には、なれないのかなぁって…////」
「大野くん…」
「………僕ね、ニノ………
……僕だってね、今でも潤くんが好きだよ?
だけどさ…
…今はもう…
…“好き”って気持ちがさ、友達への“好き”って気持ちに変わった気がするんだ///」
ちょっと自分勝手な僕の言い分を聞いて、ニノがまた複雑そうな顔をする
「………あの人に今それを求めるのは、ちょっと酷な気がしますけどね、やっぱり」
「………そう、かな………」
「でも」
ニノは、すっかり細切れになってしまったストローの袋の残骸を、僕の前から退かして端に寄せると
代わりにキュッと僕の手を握った
「大野くんは俺の親友で、潤くんは俺の級友ですからね
友達の友達は、みんな友達って森田さんの名言(←笑)もある事ですし
ま、その内そんな関係に成れる日が来るかも知れないっすね」
「………うん///」
ニノの手を握り返して僕が笑うと
ニノも、にっこり笑ってくれた
「んじゃ、ぼちぼちじいちゃんちに行きますかね?
年寄りを待たせ過ぎんのは、それこそ酷っすから(笑)」
「うん」
僕らは、残った飲み物を急いで飲み干すと
仲良く手を繋いで喫茶店を出た
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