第6章 浮気は男の甲斐性? の巻
.
僕はもう一回深呼吸して、眼を瞑った
(僕は翔くんを愛してるんだもん!
翔くん以外の人に…二度と抱かれるもんか!!)
眼を開けて、彼をみる
僕の手首を掴んだまま、不審げに眉を顰めて僕を見ている
「…放してよ。電話するから」
「そんな事させ…」
「翔くん心配してるから、電話するから、放しなさい」
「……」
彼が怯んだ隙に腕を振りほどいて電話をする
Puru..ガチャ
「もし『もももしもしもし智くん!?だだだ大丈夫んなな何があったの??ぶぶぶ無事っ!!??』
間髪入れずに電話に出て、大慌ての翔くん
「うん、無事だよ。ゴメンね?心配させちゃって」
『よ、良かった…え?何?何があったの?!』
「んーん、何でもナイの、本当にゴメンね?
それより、何か用事があったんじゃないの?」
僕は翔くんと話しながら、目の前の彼を睨み続けた
(触んないでよ?僕に触ってイイのは、翔くんだけなんだから)
『ああ、あのね、今から外出で、そのまま直帰してイイって言われたから、早く帰れるんだ』
「ホント?嬉しい!
僕、教授のお家でまだ絵を描いてるから、翔くん迎えに来てくれる?」
彼が驚いた様に眼を見開いた
『いいけど…行ってイイの?』
「もちろん!待ってるから…場所、解る?」
『うん。一応近く迄行ったらまた電話するよ』
「解った…待ってるね、翔くん」
『OK智くん!後でね!』
.