第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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「…………」
例え、事故だったにせよ
他人に、入院を余儀なくさせる様な重傷を負わせてしまったと言う負い目は
そう簡単に消えるものでは無いだろう
それは、この何時までも消えない傷痕と同じで
時に、それを忘れるなと言わんばかりに疼いて痛むに違いない
(……どうにかして、少しでもその痛みを和らげてあげたいけど……)
「……どうしたの智くん?……お腹痛いの?」
わき腹を押さえて難しい顔で黙り込んでいる僕に気付いて
翔くんが心配そうな声を出した
「……んーん、痛くないよ」
「……ほんと?」
「……うん」
「……………」
翔くんは、しばらく僕の様子を伺うように見てから
すっと体を屈めてわき腹を押さえている僕の手を退かし、シャツを捲ってソコに唇を押し当てた
「んっ…///」
「………これってさ……消えないんだね」
「ん……ぅん……そ、だね///」
「………でも、消えなくていいよね」
「え……?///」
「だってさ」
翔くんは、もう一度軽く傷痕にキスをすると立ち上がって僕を再び抱き締めた
「だって、智くんが、過去に辛い現実と闘って生きてきた勲章だもんね?」
「!!////」
「俺は……辛い日々を生きて、それでもこんなに優しく穏やかで居られる、そんな君を……誇りに思うよ」
「……しょお、くん……////」
「愛してる、智
ずっと何時までも
君の過去も
憂いと哀しみを閉じ込めた傷痕も
みんな、全部ひっくるめて
…
…君の全てを……愛してるよ」
「……しょ、く……/////」
「勿論、泣き虫なトコもね?(笑)」
翔くんは優しく笑いながら溢れ出した僕の涙を拭うと
甘く優しく、僕の唇に彼のふくよかな唇を重ねた
「……智……」
「……ん……しょお……僕も、あいしてる……貴方の全てを……
………貴方は……僕の、人生の全てだよ///」
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