第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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(……同じ趣味、だって///)
僕は、何故か急に
「高いの怖い」
とか叫んで泣き出してしまった、カワイイ僕の旦那様の頭をナデナデしながら思った
…本当に、それは単なる僕のワガママだけど
本気で翔くんと潤くんが普通の友達みたいになってくれたら…良いなぁって
そんなコト、世間で言うところの『二股』をかけていた自分が思って許される事じゃ無いのは、解ってる
本当に、そんなのは僕のただのワガママで…二人に対してだって失礼なことなのかも知れない
でも
僕は、この先一生…死ぬまで翔くんと寄り添って生きていく
だから
ニノって言う、僕と翔くんの(数少ない)共通の友人である人とも友達である潤くんと、翔くんが仲良くしてくれたら
これから先の僕と翔くんの生活が、より楽しくなるんじゃないか、って
僕は、そんなコトを思っていた
それに
潤くんは、僕と違って頭が良いし
何しろ社長さんだから、仕事の色々なコトを知ってるだろうし
そう言う意味ではきっと、僕よりも翔くんと話が合うに違いない
…僕とのことだって
あるかどうかは解らないけど、ちょっとした悩みとか疑問を訊くのには、一番適任な気がするし…
(……これじゃなんか、殆ど翔くんの為みたいじゃんね(苦笑))
僕は、自分の言い訳じみた物思いに苦笑いした
(……でも……)
僕が潤くんに感じているのと同じ様に
きっと、潤くんも僕に言い知れぬ罪悪感を抱えているに違いない
…だから
それを払拭する為にも……僕は、潤くんと翔くんが仲良くなってもらえたらって思ったのだ
翔くんは、色んなコトに囚われて疲れた心を、真っ直ぐな言葉と柔らかな物腰で癒やし解してくれる
そんな優しさを持っている人だ
だから、潤くんも……僕がそうだったように
翔くんと話している内に、過去の哀しい呪縛から解き放たれるんじゃないかって
…そう、思うから…
「…………」
僕は、泣き止んでなお、僕に甘えて抱き付いている愛しい人を抱き締めながら
そっと、わき腹の古傷の痕に手を置いた
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