第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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もしかしたら、今回松本くんの家に遊びに行きたいと言ったコトだって
まあ、さとしくんと遊びたかったってのは本当だったにしろ
俺と松本くんが、普通に話しているところを見たかったからなのかもしれない
「…………」
俺は、改めて腕の中の智くんをじっと見詰めた
「……智くん、俺……松本くんと、仲良くなって欲しい?」
「………ぅん………ごめんなさぃ………こんなの、僕のただのワガママなのに…////」
「……なれるんじゃないかなぁって、思うよ?俺は」
「え…?////」
「だって、そうでしょ?」
俺は、また溢れ出した智くんの目尻に浮かぶ涙を指で拭った
「だってさ、同じ人を好きになったんだから
少なくとも、そーいった趣味は同じじゃん?」
「なんだょ、そーいった趣味って///」
俺の微妙に変な言い回しを聞いて、智くんがふにゃんと笑う
俺は、ちょっと笑顔を見せた愛しい人の、ふっくらとした頬に
優しく、柔らかくキスをした
「……一度、二人だけで腹を割って話すのも、悪くないかもね」
「……翔くん////」
「智くんは、ずっと…俺だけの智くんでしょ?」
「……うん////」
「なら……なんか、話せそうな気がするよ(笑)」
「……うふふ……なに、それ////」
「何って、そこの確認をしっかりしとかないと、俺、またパニクるから!!」(←確かにね(笑))
「えぇ〜?んふふふふ////」
智くんは、俺のヘタレな発言を聞くと
何故だかとっても嬉しそうにクスクスと笑い出した
(……そうだよな……ちゃんと腹を割って話したことが無いから、必要以上に意識してビビっちゃうってコトも、無くは無いしなぁ
ここは一つ、清水寺の舞台から飛び降りるつもりで……)
……清水寺の舞台……
「………………」(←清水寺の舞台の高さを思い出し固まる撫でぃ)
「?……翔くん?どうかした…」
「Σ高いの怖あぁああーーいッ!!!(号泣)」(←自爆(笑))
己が高所恐怖症なのを忘れ、高いコトの比喩に使われる様な高所を思い出し泣き喚くと言う失態をさらし
それを愛しの智くんに優しく宥められながら
俺は、松本家を訪れた際に、思い切って松本くんと二人だけで話してみようかなぁって
本気で思っていた
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