第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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(大体さ、別に俺が行く必要も無い様な気がすんだけどな
でも、自分抜きで智くんが松本くんちに行くのを、正気を保って耐えていられる自信も無いし…)
ここ数日間
俺は、ずっと繰り返しそんなコトを思っていた
「……はぁああ〜〜……」(←そして漏れ続ける大きなため息的な(笑))
「翔くん、どうかしたの?」
「ふぇ?」
カレンダーの前で派手にため息を付いていたら、風呂から遅れて上がって来た智くんが
心配そうに俺の顔を覗き込んだ
(あ〜…湯上がりの智くん激色っぽい&超カワユス♡)
…じゃ、なくて(汗)
「い、いや別に?どどうもしないけど?(汗)」
「…………」
どうもしないと言いながら、動揺してキョドる俺から視線を離して
智くんがカレンダーをじっと見詰める
その視線の先には、どう考えてもあの赤い丸印があるように見えた
「あ〜……ああ!アレだよね、ほら、松本くんち行くの、もうすぐだよね!!(汗)」(←そして更にキョドる撫でぃ)
「…………ワガママだって、解ってるよ///」
「ふぇい?」
俺は、思いがけない智くんの、何時もより低い声で発せされたセリフに
思い切り声を裏返した
智くんは、そんな俺の方には目を向けずに、じっとカレンダーを見ながら言った
「……別れた彼氏のとこに、旦那さんと一緒に遊びに行くなんて
そんなの、普通だったら考えられないもんね
……解ってるよ、そのくらい///」
「さ、智くん…?」
「……でも僕……ちょっと嬉しかったから……///」
カレンダーを見詰める智くんの瞳がうるうると揺れて
普段から多い水分が増量する
「Σさっ、智くん泣かないでッ!!!////」(←涙ぐむ嫁を見て焦る撫で旦那)
「んにゅっ////」(←そして何時も通り抱き潰される嫁)
「なんか解んないけど、泣かないでぇえーーッ!!!(号泣)/////」(←そんでもって“泣かないで”と言っている本人が号泣(笑))
「…………ごめん、ね……ありがとう////」
涙うるうるの智くんを見てパニクり、涙うるうるどころではなくなりながら自分を抱きしめる俺を、キュッと抱き返して
智くんが、細く小さな声で呟いた
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